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沼地 エリア7 昼



この世界は美しい。


眩いほどの白い景観に穿たれた黒点に何らかの損ないが意識され易い事とは逆に
暗闇を射す一閃の光は魅力を与え易い。


私達の身体に眠る記憶は闇の中に何を見てきたのか。

 

自分の感性に訴え掛けると
誰もいない筈の湖面に亡霊が浮かび上がってくる。

 

と言うのは冗談で、彼は狩人だ。


今回の撮影地は沼地の洞窟。狭い場所で怪物に襲われても面倒なので
鎌蟹を狩りに行こうとしていた同胞のクエスト受注票に自分の名前を書き足しておいた。
 

巣穴付近で待機していると間も無く鎌蟹が姿を現した。
凶刃の前へ果敢に躍り出る受注主の勇姿は生前の私を思い出す。



まぁ、そんな事はどうでもいい。





邪魔者は誘き出せたので早速撮影に取り掛かるとしよう。



沼地の洞窟は非常に特徴的で
低い天井から木の根が無数に生えている。


根が歪な形状に屈折するのは土砂の密度や水分の量に左右された結果であり、
何も無い空間に伸びたならば水生球根の様な箒状の根が広がり易い。
だがこれは元々地中だった箇所が短期間に大量の土砂を失ったかの様に見える。



沼地は多量の雨により泥と化した腐葉土が長年堆積してきた。
沼地全域の地下に巨大な岩盤が形成されている筈だ。
粘土質の岩盤は地下に池を溜め込むプレートとなり、上部に湿った地層を築く。


その地層が何らかの原因で地表に露出すると途端に流出し
岩盤に沿った形で空洞が形成される。



沼地は非常に起伏の激しい土地だ。
周囲を見渡せば地層の断面が伺える絶壁が高低様々に聳えている。
霧が晴れれば更に高い山に囲まれた盆地である事が確認できるだろう。


登山する道程で地滑りの跡を見てきたが
此処は隆起も多かったのではないだろうか。

 

岩盤に点在する巨大な水晶群。

水晶の生成には摂氏700度、2000気圧に及ぶ超熱水と隣接する空洞が必要で
その条件が整う地域は海底か活火山均衡の地殻だ。
地殻変動や火山活動の衰退により熱水が冷却される過程で水晶が発生する。
冷却と言っても通常の気圧下では沸騰する温度だが。



巨大な水晶が生成され得る地層がどの様にして地表付近まで浮上してきたのか。
その過程で姿を見せた洞窟は、今では多くの生物の巣窟となっている。



水晶の全長から察する歳月を掛け、
暗闇に開かれた亀裂の窓。


出来れば視点を高く撮影したいところだが、脚立が無

 
 
――――――――――――。


クリックで拡大(1280x720)


天井と地盤を繋ぐ根の間から湿った鏡水が空を映す。
根先は引き裂かれた安寧を求めて尚も手を伸ばし続けた。



続きは、また今度な。



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