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極海 エリア6 昼



この世界は美しい。


手で触れられる物の多くは人が生活できる環境で見せる一部の形質でしかなく
凡そ順応に及ばぬ極地では思い掛けない姿で現存する事がある。

 
一重に氷と言っても、極海となればその限りでは無い。

晴天に座す太陽の周辺で煌く白銀の粒子。

氷点下10度を下回る空気中の水分が氷へ昇華し、中空を漂う現象だ。
ダイヤモンドダストとも呼ばれる。


気温的にはポッケ村でも発生する可能性があるのだが
無風でなければ昇華が起こり難い。
あそこは山岳地帯だから風が止む事はあまり無いだろう。
 
話が反れたな。
今回は氷洞の撮影なんだが、現地へ着くまでに少し海氷の話をしよう。


海水の表層で外気から冷却されると晶氷もとい氷の粒子が生成されるのだが、
この時点では爪先程の大きさも無いので視認が困難だ。
晶氷は、先程紹介した降雪によるものから発生する場合もある。
 
対流を経て海水の密度が濃くなる深度まで運ばれると他の晶氷と凍結して成長する。


元は小さな円盤状の結晶だが、
人の背丈程の円周を持つ氷板に成長して海表に再び戻ってくると
波にゆられて他の氷板と押し合い、更に高密度の氷板へなってゆく。


これは海氷生成過程の一例に過ぎないが
説明したのは氷洞の壁が無数の氷板で密集した造形になっているからだ。

さて、到着したぞ。
ステンドグラスみたいな氷壁だな。


巨大に成長した海氷が
夏季の暖かい波で比較的密度の低い箇所だけ溶かされてしまうと
こんな洞窟になるのかも知れん。
 
今では立派なポカラ共の巣窟だ。


洞窟内を注意深く観察すると幾らかの採集物が目に留まる。

氷壁の狭間で逞しく成長した茸。
よほど優れた不凍蛋白質を持っているのだろう。
氷中の何を養分にしているかは不明だ。


氷壁に閉じ込められた植物。
極海で自生する植物が閉じ込められたのか
大陸から流されてきた氷河に含まれていたのかは分らない。


標本を採集したければピッケルもしくはスコップを持参だ。


そろそろ寒くなってきたので適当に周辺を撮影して帰ろう。

クリックで拡大(1280x720)



海底の洞窟に氷壁を通して射し込む光。
足音が薄い氷板に響く。


続きは、また今度な。



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